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「お客様のご覧になりたい本はこちらでは?」
「ああ〜、そうよ!この内容!
私ったらタイトル覚え間違いをしていたのね。
懐かしいわ……ありがとう、ありがとう…借ります!」
などという事はなかなかない。
昔読んだうろ覚えの本 というレファレンスは難しいのだ。
表紙が絵だったとか、挿し絵が白黒だったとか、
猫出てきたとか、最後泣けたとか。
決めてのないヒントは困る。
読みたい気持ちはわかるので該当しそうな本を何冊も取り寄せて
中をチェックし、付箋を貼る。
その山を見て首を振る利用者。やはり違ったか。
またヒントを思い出したら改めて調査するという事で
一旦終了。
終了しても心はなんとなく探しているのだ。幻の本を。
いつか利用者に連絡出来たらいいなと希望は捨てていない。
そんな幻の本が増えていく一方だ。