レファレンス業務というのは
検索するだけではなく、その前の聞き取りが重要だ。
「これを知りたい」といっても
作り方、歴史、写真といろいろあるし、分類が違ったりするから
ただ、センシティブな事についての検索もあるので
そうぐいぐい掘り下げては聞けない。
「〜についてでよろしいですか?」と
利用者からの返答を待つ、やんわりした聞き方にしておく。
館長がレファレンス当番の時
女性の利用者が首から上の
マッサージの本はどの場所に置いてあるか聞いていた。
館長は健康系、スポーツマッサージ系を検索して
利用者に検索メモを見せている。
「…そういうんじゃなくて…」と 歯切れの悪い反応。
隣のカウンターにいた私とU子先輩は
あ!と顔を見合わせる。
きっと読みたいのは美容系の本。
顔痩せとか、お肌が綺麗になる類の。
館長は男性だし美容の方面に検索が広がらなかったのだろう。
彼が得意なのは歴史や生物で、これはバリバリ的確な資料を
検索できるんだけど…
利用者の人が「自分で探します。」と席を離れた後を
U 子先輩がそっと追って行った。美容の本はフロアが違うのだ。
館長は「全身のマッサージの本とか棚にあるのにねぇ?」と
不思議そうにしていた。