図書館の幽霊

1階のカウンター当番を終えて

さっきの内部業務の続きを！と2階にある事務室に入ったら

定休日のはずの館長がすごい勢いで

社内パソコンを打ちまくってる。数少ない社内パソコン…

困ったなぁと思いながら「あの、館長…」と

おずおず声をかける。

「今日　俺はいないから！」と手を休めない館長。

なるほど出勤してないテイなのね。朝礼にもいなかったし。

期限の迫った提出書類がたまりにたまって

仕方なくやってきたんだろう。

「今日　俺のことは幽霊だと思ってくれ。」　そうはいかない

こっちだって今日中に行事企画書を作って送りたいのだ。

せめて保存させて‼︎ちょっとだけどいて‼︎　と　

背後から念を送りまくった。

結局館長は閉館近くまでいた。

もちろん閉館作業はしてくれなかった。幽霊だから。

図書館奇譚 [ 村上　春樹 ]